いまこそ知りたいDX戦略 石角 友愛

実にDXの本質を説明した本だと思う。

DXに関する書籍が多数出版されているが、まず本を手に取って読んで欲しい。

私もIT企業に勤めて日本の大手企業の顧客にDXを語ることがあるが、ほとんどの顧客が単なる旧来ある仕組み(マニュアル、古いシステム)に対してAIなどの最新技術を活用したシステムへの置き換えになっている。社長直結組織としてDX推進部が立ち上がるが、DX推進部はまず初めに各事業部、部署へデジタル化する必要のある問題を収集してそれをAIなどの最新のテクノロジーを活用して各々システム化していくことをDXとしている。

ここでは、

「会社にとってのコア」を再定義し、それをデジタル化することが、DXの本質である。

と述べている。

私の理解では、従来のBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)に最新のテクノロジーを活用したダイナミックな変革を意味するものと認識している。

また単なるマニュアルからのデジタル化は、デジタイゼーションであり、DXではない。また、デジタル化されたデータを使用して、作業の進め方やビジネスモデルを変革することは、デジタライゼーションと定義する。デジタルトランスフォーメーションDXは、主に人や組織に関する変革を指す。

引用してまとめると、

デジタイゼーションとは、「アナログからデジタル化への移行」

デジタライゼーションとは、デジタル化されたデータを使用して、作業の進め方やビジネスモデルを変革すること

そして、

DXは、主に人や組織に関する変革を指す。

デジタライゼーションにより実現された新たなビジネスモデルとコアビジネスのデジタル変革を恒久的なものへ変えるためには、人の変化が必要不可欠になる。

この場合の「人」には、顧客、エンドユーザー、消費者、協力会社、社員などが当てはまる。

また、本書ではDXを推進するために超えるべき壁を3つ挙げている。

  1. 「何から手をつければいいのかわからない」
  2. 「なかなか実現フェーズに進まない」
  3. 「リソースが足りない」

確かにこれら3つは私が顧客と接する中でよく出てくる課題である。

特に「1. 何から手をつければいいのかわからない」ということをよく聞く。

これはそのそもその企業にとってのDXとは何か?という最初に明確にすべき内容をすっ飛ばして各論に入っているために起きていることである。

この本は良書である。

読み返して本質をさらに理解、深めておきたい。